なぜ、挟む1枚の中わたを羊毛にしたのか
ベッドパッドの役目は、毎晩の汗と湿気の受け皿です。受け皿の中身に何を使うか。僕が羊毛を選んだ理由と、羊毛の苦手なところを、ここにまとめました。
羊毛は、水分を含みやすい繊維です
繊維がふだん含んでいる水分の目安を「公定水分率」といいます。羊毛15.0%、羽毛13.0%、綿8.5%、ポリエステル0.4%。比べた4つの中で、羊毛がいちばん水分を含みやすい繊維です。
毎晩、背中のすぐ下に来るのが、水分を含みやすい繊維なのか、ほとんど含まない繊維なのか。違いはそこにあります。
出典:JIS L 0105(公定水分率)。素材そのものの値で、この商品の測定値ではありません。
吸った湿気を、ずっと抱えたままにはしません
羊毛は、まわりの湿度が高いと水分を吸い込み、湿度が下がると外へ逃がす繊維です。
ただし、洗濯などで水にぬれたときは別です。羊毛は水を多く含むぶん、ポリエステルより乾くのに時間がかかるという研究があります。洗ったあとは、風通しのよい日陰で、中までしっかり乾かしてください。
においについて、分かっていること
着たあとの服のにおいを比べた研究では、羊毛はポリエステルや綿よりにおいが弱かったと報告されています。汗のにおいの成分を羊毛がよく取り込み、外へ出しにくいという実験もあります。
とはいえ、どれも衣類や実験室での話です。羊毛なら菌がつかない、におわない、という意味ではありません。湿ったままにせず、ときどき干して乾かしてください。

服の羊毛とは違う、弾力のある毛を使っています
セーターや肌着によく使われるメリノウールは、毛をとるために品種改良を重ねてきた羊の毛です。細い毛が多く、ザ・ウールマーク・カンパニーの説明では、太さはおおむね17.5〜24µm前後です。
このベッドパッドには、フランスで肉やミルクのために育てられている羊の毛を使っています。毛を取るための品種改良があまりされていないため、太くて縮れの強い毛がそのまま残っています。直近の試験での太さは30.2µm。仕入先からは、弾力があって敷き寝具によく合う羊毛だと聞いています。
細い毛が良くて、太い毛が劣る、というわけではありません。肌に直接触れる服と、体重を支える敷き寝具とでは、向いている毛の種類が違うだけです。
産地はフランスのポワティエ・リモージュ周辺、テクセル種とシャロレー種を混ぜた羊毛です(対象ロットの仕入先資料による)。出典:The Woolmark Company「What is the wool fibre?」、仕入先資料(2025年8月・2026年2月)。
羊毛なのに、あえて洗えるようにしています
羊毛の表面には、うろこのような「スケール」があります。水の中でもまれると、スケール同士が絡み合い、縮んで固まります(フェルト化)。羊毛製品に「洗えない」ものが多いのは、このためです。
このベッドパッドの羊毛には、毛同士が絡み合って固まるのを防ぐ「防縮加工(フェルトストップ加工)」を施しています。その前の段階で、毛に残った植物のくずを取り除く加工(化炭加工)も行っています。また、側生地には、中の羊毛が外へ飛び出しにくくする加工(ウールプルーフ加工)を施しました。
表面に手を加える加工なので、何もしていない羊毛とまったく同じではありません。それでも洗えるほうを選びました。毎晩の汗を受け止めるものだからです。
縮みを抑える加工ですが、まったく縮まないわけではありません。洗濯の際は、商品に付いている洗濯表示に従ってください。
出典:JIS L 0105(公定水分率)。吸放湿は Shin M ほか(Nature and Science of Sleep 2016)が紹介する Morton & Hearle『Physical Properties of Textile Fibres』(1986)。乾きやすさは Hassan & Leighs(Drying Technology 2017)。においは McQueen ほか(Textile Research Journal 2007)、Richter ほか(同 2018)。ここに書いた研究は素材一般や衣類についてのもので、この商品で眠りが変わることを示すものではありません。


