寝付きが悪い人は試す価値あり!スダルシャンクリヤ呼吸法(前編)
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「布団に入ったのに目が冴える」
「夜中に何度も起きてしまう」
「朝になってもスッキリしない」──。
そんな夜の共通点は、じつは寝る直前まで脳を仕事モードにしていることです。
ついメールを確認したり、細かな作業を片づけると、交感神経が優位になって脳が“起きる準備”を続けてしまう。
結果として、寝つきが悪くなり、眠りも浅くなる。
そこで提案したいのが、インド発祥の呼吸法「スダルシャンクリヤ・ヨガ(Sudarshan Kriya Yoga:略称SKY)」です。
SKYは、呼吸のリズム・深さ・速さを段階的に変えながら行うメソッド。
1回20〜30分ほどのセッションを継続することで、
自律神経のバランスを整え、心身を“眠りの準備”へと切り替えていきます。
SKYとは?──「呼吸のリズム」で自律神経を整える
SKYは、いくつかのステージで構成されたリズミカルな呼吸トレーニングです。
特徴は次の3点。
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段階性:ゆっくり深い呼吸から、少し速い呼吸へと段階的に切り替える
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規則性:一定の拍(カウント)で吸う・止める・吐くを繰り返す
- 継続性:毎日20〜30分を目安に積み上げる
この「段階性×規則性×継続性」が自律神経の揺らぎを整え、就寝前の過覚醒(頭が冴え続ける状態)を鎮める土台になります。
従来から、不安・ストレスの軽減やウェルビーイングの向上が報告されており、近年は睡眠の質に関するポジティブな所見も蓄積しています。
どんな人に向いている?
- 夜、緊張や不安でなかなか寝つけない
- サプリや薬には極力頼りたくない
- 瞑想は苦手だけど「脳のブレーキ」をかけたい
- 寝る前のスマホや仕事メールをやめにくい
呼吸は自分で調整できる生理機能。
だからこそ、環境要因(音・光・温度)をすべて完璧にできない日でも、「呼吸だけは整える」という選択肢を持てます。
これは習慣化しやすく、再現性の高いセルフケアです。
心理学から見た「呼吸→睡眠」3つの近道
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不安の低減:ゆっくり長い呼気は副交感神経を優位にし、心拍や筋緊張を下げます。体が先に落ち着けば、心も後からついてきます。
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認知の切り替え:「眠れないかも」の思考ループを、呼吸への注意で一旦停止。マインドフルネスと同様に、注意のハンドルを握り直せます。
- 条件づけ:毎晩同じ呼吸ルーティンを行うと「この呼吸=睡眠の合図」という学習が進み、寝入り口がスムーズになります。
本日のまとめ
- SKYは段階的なリズム呼吸で自律神経を整える。
- 寝る直前の仕事・スマホ習慣を「呼吸」で断ち切り、睡眠の入り口を作る。
- 心理学的には不安低減/認知切り替え/条件づけで眠りを後押し。
呼吸は、意志の力が弱い夜でも続けられる“最小の一歩”です。うまくできない日があってもOK。「呼吸だけは整える」——この姿勢が、翌朝の体調と自己効力感をじわっと底上げしてくれます。
次回予告(後編)
後編では、自宅でできるSKYの基本ステップをわかりやすく解説。
さらに、時間がない日でも取り入れやすいボックスブリージングや交互鼻呼吸などの代替プランも紹介します。
あなたの一日に、安定した「眠りの入り口」を作りましょう。
参考文献(引用)
- Brown, R. P., & Gerbarg, P. L. (2005). Sudarshan Kriya Yogic breathing in the treatment of stress, anxiety, and depression. Journal of Alternative and Complementary Medicine, 11(1), 189–201.
- Zope, S. A., & Zope, R. A. (2013). Sudarshan Kriya Yoga: Breathing for health. International Journal of Yoga, 6(1), 4–10.
- Kochupillai, V., et al. (2005). Effect of rhythmic breathing (Sudarshan Kriya and Pranayam) on immune functions and tobacco addiction. Annals of the New York Academy of Sciences, 1056(1), 242–252.
※本記事は臨床的助言ではありません。持病や治療中の方は、医療専門家にご相談のうえ実践してください。

